むかしむかし、あるところにうさぎとかめが暮らしていました。
その日は天気が良かったので、かめはお出かけすることにしました。近くの山のふもとまで、ゆっくりのんびり歩いて行きました。するとばったり、知り合いのうさぎと出会いました。
うさぎはお調子者で、かめとは良く競い合ってあそんでいました。「今日も何かで競うことになるのかな」かめはそう思いました。
「明日にでも、あそこのまるい山のてっぺんまで競争しよう。」
うさぎがそう持ちかけました。
かめは自分にとってそれが不利なのを感じながらも、仕方なく、次の日にまた今居る場所で待ち合わせすることにしました。
次の日、かめとうさぎは山のてっぺん目指して、よーい、どん!うさぎはぴょんぴょんと川を渡り、森を走り去り、野原をすばやく横切りました。
かめの方はうさぎが通り過ぎていく様子を見ながら頑張って進みましたが、やはりあまり速くないようでした。
いよいよ山のてっぺんへと登る坂道まで来た時、うさぎは振り返りましたが、カメの姿はまったく見えません。
「ふん、どんなもんだい。だいたい、カメがウサギとかけっこしようなんて馬鹿な話なのさ。どれ、ここいらで一休みしようかな。」
「これじゃあ、あんまり張り合いがないなぁ。見えないくらい遠いことだし、どれ、ここいらで一休みしようかな。」
ちょうどそばの草原には横たわるのにちょうどいい大きさのくぼみがありました。うさぎは目を閉じて休むことにしました。
草が肌に触れて心地よく、また、ここまで長く走ってきたために、うさぎは眠くなって寝てしまいました。
気持ちよく寝ているうさぎはなかなか起きなさそうです。一方のかめさんは、地道にじっくりと山を登っていました。
かめはずいぶんたってから、うさぎの所まで来ました。必死に歩いたので、汗がびっしょりです。
寝ているうさぎを見て、にっこり笑いながらかめは言いました。
「まさか追いつくなんてね、お先に失礼。」
うさぎが目を覚ましたとき、すでにかめは山のてっぺんのすぐ目の前にいました。うさぎはすぐに走って追いつこうとしましたが、かめはゴールにたどりついたようです。
かめは、自分があまりに競争に勝てたことに、かめはとても喜びました。
こうしてうさぎさんは、かめさんにかけっこで負けました。でも不思議と悔しくはなかったようです。
うさぎさんはかめさんを甘くみて寝てしまったけれど、どんな相手でも全力で戦うことがたいせつだと、気づいたからです。
「かめさん、次はぜったい勝つよ。もちろん、途中で寝ずにね」
「もちろん受けて立つよ。ぼくだって負けていられないさ」
こうしてふたりはまえよりもずっとなかよしになり、よきライバルになりましたとさ
めでたしめでたし